「手首式」は不正確か?

投稿者: | 2022年9月21日(水)

昨年ぐらいから,定期検診で血圧が少し高いという指摘を受けていますので,ここ半年ぐらいは毎朝の血圧測定が日課になっています。
使用しているのはいわゆる「手首式」と呼ばれる血圧計で,ときどきその結果を持って医師と相談していますが,現時点では特に治療を必要とせず経過観察,という状態です。

で,ネット上にはこの「手首式」については測定値が正しくないという主張をされる方がそこそこ見受けられます。
しかし,仮に「手首式」が不正確だとした場合,正しい方法で測定した(これが重要)にも関わらず何を根拠に測定値が不正確だと判断したのかが今ひとつ不明ですし,先の主張をされる方々でもその根拠を明確に開示されているわけでもなさそうです。
困ったことに医師と称される方1)嘘ではないと思うが,私には確認する手段もなく,確認するつもりもないので,ここではこう表記しておきますでも,手首式血圧計については「問題なし」という人と「大問題」という人で意見が割れているようにも見えます。

ということで,正確だと評されている上腕式の血圧計も入手してみました。
校正の手段がありませんので,2つの測定器で同じ量を測定して近い値が出れば,両方の測定器はそれなりに正確であると判断できますし,異なればどちらかが不正確と判断できます。もっとも後者の場合,不正確であるのは「どちらか」であって「手首式」が,という結論にはなりませんが・・。
入手したのはエー・アンド・ディー社製トラベル血圧計UA-704です。


加圧を手動で行うというものですが,今回の目的ではこれで十分でしょう。
「トラベル血圧計」と称しているように,携帯できる上腕式血圧計でそのためのポーチ(写真左)もついています。

と言うことで,2つの血圧計で測定してみたところ,各々の血圧計で測定値に大きな乖離はなく,病院に置いてある「アームイン」型の血圧計での測定結果に近い値が出ましたので,少なくとも私の環境下では「手首式」が不正確という命題は否定できる,という結論になりました。もっとも両方とも不正確という可能性は残りますが,それを言い出すとキリがないので,ここではそうしておきます。

では何で「手首式不正確」論が出てくるのか?
このあたりの事情はよく知りませんが,おそらく正しい方法で測定していないのではないか,というのが可能性としてはいちばん高そうです。「正しい方法」は取扱説明書に明記してありますのでここでは省略しますが,それさえ守っていれば,ほぼ間違いない値が出ると思われます。血圧計の製造メーカーも同じようなことをFAQで言及しています
もうひとつ,日本高血圧学会が「上腕式血圧計を選びましょう」と記載されたパンフレットを公開していることも影響しているものと思われます。ただし該当の文書にはその理由は記されていません。
いずれにしろ,国内で流通しているものは医療機器としての認証を受けているので,それなりの正確性は保障されているはずで,よって手首式血圧計だけが不正確というのとは考えにくい話です。

 

References
1 嘘ではないと思うが,私には確認する手段もなく,確認するつもりもないので,ここではこう表記しておきます

「手首式」は不正確か?」への2件のフィードバック

  1. JE1SGH 1RO

    医学系の “定説” に関しては途中までエビデンスを示しながら話を進めて最後に医師のカンで結論を出している例がたくさんあるように感じます.
    手首型も上腕型も使っていますが,どちらも誤差(測定毎のバラツキ)はある感じです.感じとしては^^; 手首型の方が測定毎のバラツキが若干大きいかなと感じています.測定結果の中央値に関しては大差ないように思います.

    1. JG3QQK 投稿作成者

      コメントありがとうございます。
      私も感じとしては差はないかな,という印象です。

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