台湾の住民投票

投稿者: | 2021年12月30日(木)

12月18日に台湾で4つのテーマについての賛否を問う国民投票(現地の表現だと公民投票)がありました。
詳細は各種の報道を見ていただくことにして,お題目は「成長促進剤入り豚肉の輸入中止」と「原子力発電所の再稼働」と,他によくわからないものが2つの合計4件で,いずれも政権与党の施策を否定し中止を求めるものだったようです。
結局4つとも不成立になったのですが,この成立/不成立の条件が単純に投票総数の過半数ではなくて,以下の2つの条件を満たす必要がある,とされていました。

  • 賛成票が反対票を上回ること
  • 賛成票の総数が全有権者数の4分の1以上であること

「全有権者数の4分の1」の根拠がどこにあるのかは面倒なので調べませんが,これだと投票率25%以下だと開票を待たずに不成立が確定しますし,棄権は反対(=多くの場合は現状維持)と見なされるので,賛成の場合は何があっても投票に行かなければならない,ということになります。
日本の住民投票でこのような制度を入れているところは聞いたことがありません。過去2回実施された大阪市廃止の住民投票でも「投票数の単純過半数」で成立となってました。
日本では「投票総数の過半数では民意は反映されない」と呪文のようによく言われているのですが,その割にはそれを是正しようとする動きも見られません。この「公民投票」の制度が完璧なのかどうかは,私にはわかりませんが,少なくとも「棄権」を無視しない/できない,という点は評価できるのではないか,と思いますが,どうなのでしょうか。

なお報道に拠れば,今回の件は野党が政権与党に対する「不信任投票」だと位置付けて,賛成への投票を呼びかけて,党勢拡大を狙っていたという経緯があったようです。特に豚肉に関しては事前の世論調査で賛成=輸入中止という回答が多数となっていたこともあって,野党側は勝てると踏んでいたようですが,結局「返り討ち」を浴びた,という結果になりました。
その一方で与党の首長がいるところで賛成多数となったところがあって,次の首長選挙に不安が・・という話も出てました。
でも首長選挙の結果と,その首長が推進する政策の住民投票の結果が「捻れている」という例は,大阪で2回もありましたので,特段の心配はないものと推測されます。
知らんけど。

と言うことで,本年最後の投稿です。
みなさまよいお年をお迎えください。