国家広播文物館と板橋送信所

投稿者: | 2023年1月4日(水)

年末の12/27から1/1まで,久しぶりに台湾に行ってきました。
第一の目的は遠傳電信のプリペイドバウチャー購入と,ここ数年ほど切らしていて禁断症状が出始めているお茶を買いに行くことで,この2つは入境後にあっさりと達成できましたので,余った時間で島内を徘徊してきました。

と言うことで,ラジオ関係の施設巡りでまず嘉義県民雄郷というところに行ってきました。

ここはもともと「打猫」と表記して「ターミャオ」と発音する地名だったのですが,当時の台湾総督府が動物愛護に関心があったのか,字面が悪すぎると言うことで発音の近い「民雄」という字をあてて改称し,戦後もその名称が引き継がれているということです。「打狗」と「高雄」の話と同じです。
で,何でこんなところに来たのか,といえば駅からちょっと離れたところにある「国家広播文物館」,日本語で言えば「放送博物館」のような施設に行くためです。ここはかつては台湾放送協会の民雄送信所があったところで,戦後も中央広播電台の大陸・海外向け放送(自由中国之声→台湾国際放送)の送信所として長く使われていた施設です。
民雄駅から歩いて15分くらいです。この手前には「民雄放送所招待所」という当時の宿舎である日本式の家屋が保存・公開されています。

で,平日の昼間とはいえ一般公開されている博物館なのに中には誰もいません。
本館の方にゆっくり歩いていくと,向こうから係員らしき男性が近づいてきて,中国語で何か話しかけて来るのですが,当然わからないので,「我是日本人。不会説中文」と言ったあとに,英語で「博物館を見に来た」と答えると,何とか通じたらしく,中に案内してくれました。
で,入場料を払い会議室みたいなところに通されて施設の概要の動画(日本語版)を見せてもらい,そのあと各展示物を彼のガイド付きで回りました。来訪者が勝手にウロウロするのではなくて,こういうスタイルの博物館のようです。
愛宕山のNHKの博物館と同じ趣旨の施設ですが,こちらはハードウェアの展示が主で,開設時に設置されたNEC製の中波送信機が何と動態保存されています。

その他各種真空管や,レコードのコピー機と言うめずらしいものも置いてありました。
日本から個人で来る人はめずらしいみたいで,何でここを知ったのか?などいろいろ聞かれたので「アマチュア無線の免許を持ってるのでこういうのに興味がある」とか「以前は自由中国の声をラジオでよく聴いていた」など答えておきました。

もうひとつ,これはたまたま最終日に泊ったホテルの近くで見つけたのですが,新北市板橋にはこの民雄送信所より前に解説された「台北放送局板橋放送所」という送信所の跡地が公園として残されていました。

こちらは建物の中には入れませんが,中で何らかの工事が行われているので,そのうち公開されるかも知れません。
MRT府中駅の近くです。
なお今回は訪問していませんが,台北放送局の建物は現在「台北二二八紀念館」となっており,近隣にはラジオ塔などの構造物が残されています。